私は熊本で生まれました。
大学進学とともに福岡での暮らしを始めて18年。
最初は頑にしゃべらなかった博多弁もすっかり板につき、最初の就職先は福岡の出版社。ローカル(タウン)情報発信という会社使命のもと、福岡の街を文字どおり「駆けずり回って」いました。
フィルムカメラ(当時はデジカメが出始めの頃だった)や鉄の三脚をいつも肩下あたりにぶる下げ、くたびれたジャケットを着(き)、それでも正気だけは絶やさぬよう東奔西走。
「打倒!リ●ルート」なんて本気で思っていたのもその頃だったと思います。また、「ボロ着ても心は…」の精神は、当時勤めた会社の先輩とよく交わした合言葉でした。
そんなこんなで、仲間とともに雑誌制作(取材や営業)に明け暮れた20代は、私のかけがえなき歳月であり、数えきれぬほどの人や店(つまり街)と深い関係(あほみたいに飲んだし、失敗もした)を築く時間でもありました。
友人ならまだしも、疎遠の知人でさえ、彼らが来福するとき、唐突に「オススメの店教えて」といまだ私に連絡をよこしてくるなんざ、ローカル雑誌編集業の“賜物”かもしれません。でなければ本望とでも言っておきましょう!
福岡で結婚もしました。満36歳。人生のちょうど半分を福岡で過ごした計算です。