瀬口 賢一

Linde CARTONNAGE
手紙ってこんなにも楽しい!紙とペンと印刷と。

瀬口賢一のプロフィール画像です。

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Linde Cartonnageについて

意思疎通に手紙がちょうどいいわけ

私たちにはもはや、手紙という気持ちの交換ツールは必要でなくなっているのか。それを象徴するかのように、世の中はデジタル全盛(という言葉そのものがもう古くさい?)で、情報交換の術はほとんどオンラインで事足りる気配すらある。

言葉は本来、何かの物体上に描かれ、時代に文章、もっというなら表現が生まれた。「手書きによる文章」の代表に、手紙が挙げられるが、それはときに人を励まし、ときに悲しませ、またあるときは時代を動かすほどの力をもっていた。

SNSが主流のいま、思いを伝えることが瞬間的に行えるようになった。この進化を憂うつもりはないが、どんなに時代が移り変わろうとも、人間が誰かに寄せる“特別な思い”の感情は不変的だと思う。その特別感を相手に伝えたいとき、私は手紙を書くのだ。感情を自分の字に託すことができるからだ。

さて、いつからか私は、万年筆を使っている。自分の字と思える表情を一番だしやすいのがこのペンだ。脳裏に相手の顔と捧げたい言葉をイメージし文を紡いでいく。ここ最近の習慣だが、季節の変わり目を感じ取り、インクの色を変えるようになった。夏は青、秋は茶といった具合に。インクの色が紙の上で織りなす濃淡の表情は、なんとも言い表しようがないぬくもりがある。

この“温度感”こそ、私の字というものに命を吹き込むものと思っている。言葉、文字、色…。私にしか書けない手紙は、かくもデジタルではなしえない魅力をはらんでいる。

手紙よ、永遠なれ。

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上記は、今年制作した雑誌(2017 年2月8日発行『Mr.Allie』P29)に寄稿したコラムです。私はリンデという店を通して、いい筆記具とか便箋だけでなく、いろんな体験をみなさんに提供したいと思っています。毎月最終日曜に店頭で実施する「手紙のじかん」もその一環によるワークショップ。

いろんなというと、それがなんやねんどやねんということですが、会では絵を書いたり、カリグラフィーをしたり、製本したり、インクを作ったりしています。

「書く」というテーマから派生する楽しみの可能性が実に広いこと。

主催者として、「手紙」の新たな可能性を探る実験的な部分もありながら、それ以上に毎度、手応えを感じています。

店舗情報

店名リンデ カルトナージュ
問い合わせ092-725-7745
Mail Address 
営業時間11:00~20:00
定休日水曜日
Address福岡市中央区大手門1-8-11 サンフルノビル2F-B

瀬口 賢一の自己紹介

私は熊本で生まれました。
大学進学とともに福岡での暮らしを始めて18年。

最初は頑にしゃべらなかった博多弁もすっかり板につき、最初の就職先は福岡の出版社。ローカル(タウン)情報発信という会社使命のもと、福岡の街を文字どおり「駆けずり回って」いました。

フィルムカメラ(当時はデジカメが出始めの頃だった)や鉄の三脚をいつも肩下あたりにぶる下げ、くたびれたジャケットを着(き)、それでも正気だけは絶やさぬよう東奔西走。

「打倒!リ●ルート」なんて本気で思っていたのもその頃だったと思います。また、「ボロ着ても心は…」の精神は、当時勤めた会社の先輩とよく交わした合言葉でした。

そんなこんなで、仲間とともに雑誌制作(取材や営業)に明け暮れた20代は、私のかけがえなき歳月であり、数えきれぬほどの人や店(つまり街)と深い関係(あほみたいに飲んだし、失敗もした)を築く時間でもありました。

友人ならまだしも、疎遠の知人でさえ、彼らが来福するとき、唐突に「オススメの店教えて」といまだ私に連絡をよこしてくるなんざ、ローカル雑誌編集業の“賜物”かもしれません。でなければ本望とでも言っておきましょう!

福岡で結婚もしました。満36歳。人生のちょうど半分を福岡で過ごした計算です。

文具屋を始めた訳

さあ、前置きが長くなったところで、なぜ私が文具屋を始めたか…。


正直、やりたいから始めたわけで、それ以外に理由などないってのが、江戸前流の潔さってところなんでしょうが、熊本出身である以上、江戸前を語る資格は当然なく、だからといって、潔さに江戸も熊本もないというので、再度潔く申し上げると「やりたかったから」。潔し(ところで「磯ぎよし」って薬院の海鮮居酒屋は美味ですよ)。

しかし、いくら潔くても、好きだけで開店するかマヌケと怒る人もひょっとしたらいるはずで、そんな時のために、上の経歴にもありますように、私自身がWriter(ライター)であるからということも申し添えるようにしています。

Linde CARTONNAGE(リンデ カルトナージュ)は、あなたのための手紙用品(文具)屋であると同時に、編集・執筆の仕事を請け負う小さな出版社でもあるんです。

はあ。情けないほど自分で話しをややこしくしてしまっている。


つまり「書く」ということをもっと大事に楽しんで、ひいては、あなたが持つ一枚の紙切れ(便箋など)とか一本のペン(万年筆)にも目を向けてみようよ。


そういう働きかけを、日ごろ店内で訥々(とつとつ)とやっているわけであります。開業に関するもう少しまともなバックグラウンドについては、別タグに記載してありますので、お暇があれば一読ください。

瀬口 賢一のHistory

2004福岡大学 商学部 卒業
タウン情報誌(出版社)入社
2010コモン編集室(編集プロダクション) 設立
2014Linde CARTONNAGE 開店

瀬口 賢一の趣味

これという楽しみならいろいろありますが、とりわけ何かつきつめてやっていることはありません。

強いていえば、実家帰省の際にする庭木の剪定や草むしりが、今や家内唯一の男息子となった私の日課です。つきつめてやってます。

さて、これという私の楽しみについて。

まずは音楽。

高校に通い始めて洋楽に出会い、誘われるように引き込まれていきました。大学に進学した後は、ロックミュージックを中心に、幅広い音楽世界にいっそうのめり込み、たびたびライブハウスに友人と出かけました。

当時の福岡は、中古CD屋はじめ、古着店も多かったので、漁るように目当てのものを探すという遊びをいろいろしたものです。大した持ち合わせもなかったはずですが、不思議と物は集まるもので、グランジという(ジャンルの)ロックミュージックに関するCDやファッションアイテム、あるいは思想本まで、今となってはやや恥ずかしい偏向的グッズが、当時暮らしていた部屋を占拠していました。

ロックは歴史を辿ることも好きだったし、違いを受容するというロックのアイデンティティーから、ダブとかクラシック、ヒップホップなどたくさんの音楽に包まれて遊んできたなと思います。

あるいは旅。

初めから海外の文化を知りたい!的、意識の高さはあまりなく、あっち側でわずかでも“普通生活”をしてみたいとか、うまいコーヒー飲みたいとかタバコ吸いたいとか、ストリップ劇場に行ってみたいとかのレヴェルでよく旅行していました。