大学を出て、旅行代理店で数年働いたのち、1993年に北九州市立美術館の学芸員に転職しました。このタイミングでようやく生まれて初めて猫を飼うことが出来ました。
それまでもずっーと猫を飼いたかったんですが、曾祖母、祖母に父親の3人が猫嫌いで実家では飼えなかったんですよね。念願叶って、猫と暮らし始めると本当に楽しくて嬉しくて、そのうち堪らなく猫の本が読みたくなったんです。
でも、当時はネットも発達していない時代で、本屋や図書館に猫の本を探しに行くんですが、結構な手間暇がかかり苦労しました。そこで「いつか猫の本だけを扱うお店をやりたい」って夢を持つ様になったんです。
時は流れて、2011年。
学芸員を経て北九州のアート系NPOで働いていた私はそちらを退職して、吾輩堂の準備に取り掛かりました。
本はずっと好きでしたが、売ったことなんてないから、今思えば全てが手探りでした。
まず何より猫についての本を集めるのが大変で、人に聞いたり古書組合に入ったりして情報収集をしたのですが、決まって、古書組合のおじさま達からは「猫の本だけの店なんて無理だから、辞めときな。他の動物や美術本も扱った方が良いよ。」といった具合のアドバイスをよく受けました。
私は、でもむしろ素人の私がやるからこそ、猫本に特化した書店の方がいいんじゃないかと思って、予定通り2013年2月22日の「猫の日」にオンラインで『書肆 吾輩堂』をスタートさせました。