国体通り沿い、天神西通りのアップルストアからすぐ。
住所でいうと、中央区大名1丁目にある築58年を経た趣あるヴィンテージビル。
それが「石井ビル」です。
2011年、不動産の世界に足を踏み入れて10年経ち、独立を決めた私は、退職の挨拶をしに前職で担当させて頂いたこのビルのオーナーの元を訪れました。
その際にオーナーから「5階に空きがあるよ」とのお話があり、このビルに以前から愛着を感じていた私は、「入居します!」と即答。
その場で、石井ビルにハートエステートの事務所を構えることが決まりました。
オーナーとの会話の中で「1階のアパレル店舗が退去予定で、次のテナントを探したい」との話があり、その場の流れで「では、1階のお客様は私が見つけます!」と条件反射的に伝えました。
今だから言えるのですが、実はその時点で店舗仲介経験は1件しかなかったのです、でも自ら申し出たからには頑張るしかありません。
ただ、一つ私が胸の内で決めたことは、1階に入居して頂くお店は、この石井ビルにとってプラスになる店舗に入ってもらう、ということでした。
「博多の人を惹きつけるカフェに入ってもらいたい!」
入居してもらいたいお店の方向性はすぐ決まりました。
人の流れがビルの流れを変えるはず、との考えからでした。
私は、物件情報チラシなし、紹介者なし、ネット情報もなし、そんな状態で、ここしかない!と感じたカフェ「manu coffee 舞鶴店」に飛び込みで電話をして「社長に物件を紹介させてほしい」と申し入れました。
とりあえず面会に応じてくれた「manu coffee」の西岡社長でしたが、当然のことながら、なんの資料も持参していない私に半分あきれ気味のご様子でした。
それでも、私は西岡社長の生い立ちからコーヒーへの想いを2時間程じっくりお聞きした後、店内にあったチラシの裏面(!)に「石井ビル」の場所を手書きで説明しました。後から気付いたのですが、恥ずかしいことに、私は面積や賃料の情報も伝え忘れていました。
とりあえず出直しだな、と思って帰ったのもつかの間、その日の夜9時頃、西岡社長から電話がありました。
「いま石井ビルの正面、若宮神社から電話をしています」
という西岡社長の声。
びっくりしながら電話越しで幾つかの言葉のやり取りを経て、西岡社長から
「決めました!」と即決のお返事を頂きました。
現地案内
詳細情報
価格交渉
不動産営業では当たり前のプロセスが、何もありませんでした。
なにかの閃きと感性でお声をかけて初めてお会いした「manu coffee」の西岡社長についてですが、そもそも私は新店舗を出したいという希望さえ聞いたことがありませんでした。
そして西岡社長も、詳しい情報や条件は二の次で、自らの感性で決めて頂いたと聞いています。
そんな2人の感性がシンクロして生まれたのが「manu coffee大名店」です。